懲戒解雇の有効性
考察)常習性、過去の類似事案、故意の有無、この辺りが懲戒解雇をする上では重要概要)チーフがXとは別にいてる。Xの担当業務は、一般従業員と同様、加工、販売に関わる実作業人事や予算に関して具体的な権限が与えられていたなどの事情、実質的に経営者と一体的な立場にあると言えるだけの重要の職務と責任、権限を付与されていたとは到底認められない。労働基準法の管理監督者に該当するとは到底認められない。時価合計3,000円相当を梱包、レジで精算することなく店外へ持ち帰った。未精算のものを持ち帰ったことを認めて謝罪、価格相当額を精算過去の類似事案との比較、常習性がみられない。窃盗罪を構成する旨の公的機関による判断は示されなかった。就業規則上の懲戒事由該当性(故意の窃盗)は認められない。違反行為が一度されたに過ぎない直ちに自らの非を認めて謝罪し、精算しており、実損害はない。再発が危惧される事情も特段見当たらない。懲戒解雇が相当であると認めることはできない。
2020. 05. 09
学校における安全配慮義務と適切な措置の相当性
考察)学校においても、民間企業と同様に安全配慮義務違反が発生する。口頭指導だけでなく、業務内容変更などの措置まで取って安全配慮義務の履行と言われる。概要)業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことが内容注意する義務を負う使用者に代わって指揮監督を行う権限を有するものは、注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきものである。地方公共団体とその設置する学校に勤務する地方公務員との間においても同様に当てはまる物在校時間も非常に長く、身体的にも疲労を感じていることを窺わせる情報を得ていた早期帰宅を促すなどの口頭指導をするにとどまる。業務内容変更などの措置を取っていなかった。安全配慮義務の履行を怠った。メンタルヘルス対策制度を利用していなかった事案において、同制度は一般的なものにとどまる。積極的な利用が期待できたともいえず、当該制度を利用しなかったことに過失があるとは認められない。過失相殺が否定
2020. 05. 09
労基法違反に該当する雇用契約の割増賃金の算定方法
考察)労基法違反に変更した場合のはみ出た時間は未払賃金として支給する必要があると共に、付加金の支払いが必要になる。労働時間の判定については参考になる。概要)労働時間の判定出勤簿がある場合には出勤簿存在しない日については日報に記載された出退勤時間出勤簿及び日報がいずれも存在しない日については定められた所定労働時間に従い認定するのが相当労働基準法違反(週48時間→40時間)の箇所については、修正された所定労働時間に対する対価として支払われたものと解するのが相当取締役への就任登記は、建設業許可を得る事を目的として形式的に行われたもの管理監督者に該当するとは認められない悪質であると認定され、賃金未払い分は付加金の支払いが命じられる。
2020. 05. 09
懲戒が認められない場合の普通解雇への変更の有効性
考察)契約書、就業規則に懲戒事由を記載されていない場合に、解雇として意思表示することは参考になる。概要)形式的に1束2円の請負契約として合意作業をするにあたり諾否の自由が事実上制限された状態指揮監督下で行われた作業であるというべき雇用契約とは別の請負契約によるものではなく、雇用契約に基づいてされたものと認めるのが相当労働契約または就業規則において懲戒の種別および事由を定めておくことを要するところ、懲戒事由の定めはない。懲戒解雇をすることはできないが、労働者の地位を不当に不安定にすることのない限り、使用者のした解雇の意思表示は、普通解雇の意思表示と解することができるというべき業務を妨害信用を毀損する警察への通報を繰り返した監査結果報告書を持ち出して業務を妨害した明示の職務命令に反して外出敵対的な感情を明らかにし、職場の秩序を乱したこれらの言動によって信頼関係は完全に失われたといわざるを得ない個別的な指導などによっても職務に戻ることは現実的に期待できない解雇したことについては社会通念上相当なものと認められる
2020. 05. 09
企業の適切な対応に拒絶をした従業員の賃金請求権の正当性
考察)従業員に対して、会社として対策をし、それを従業員が拒絶をした場合、従業員からの賃金請求権を認められないケースが発生することがあるというのは、参考となる。概要)平成26.2.24の入社後、63tダンプなどに乗車する業務に従事同年3月頃、腰が痛いので他の業務に変えてほしいとの申し出腰痛について病院に行って医師の診察を受けるよう勧めた医師の診察は受けなかった。27.4月、腰痛を理由に配置転換を申し出た。数日程度、見張りの業務に変更し、病院に行くように勧めた。医師の受診はしなかった。他の従業員からは不満が出てきた。復職が妨げられているとは認められない。復職しないのは、自身の都合によるものであると認められる。賃金請求権は認められない。賃金請求権は認められない以上、社会保険料などについては、立て替えた社会保険料などについて求償できる。
2020. 05. 09
身体的、組合の悪化などの要因が発生する従業員の配置転換の有効性
考察)従業員の身体的要因などが発生する場合、例え事業主の事情によりできる配置転換であっても、事前説明、事前協議なく行われる配置転換は、拒絶されるケースが発生する。念のため、協議、説明はしておいたほうが良いかも概要)事前説明や事前協議なく、介護職である生活支援員に配置転換を行ったことが不当労働行為にあたるとしてなされた救済命令が維持され、救済命令取り消し請求が棄却本件配転は、腰部椎間板ヘルニアを悪化肉体的負担を増大生活相談員が統括や決済など上位の職務を担い、昇進にかかる人事実績がある不利益な取り扱いに当たる。労組法7条1号(不当労働行為)第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条の十二第一項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。(昭二七法二八八・平一六法一四〇・一部改正)法人と労組の関係が悪化害悪を及ぼす強い意図が見られた配転につき、わずか1日で理事長までの決済を得るに至った。腰部の状態を認識していたにもかかわらず、本人への事情聴取などがなかった労組の中心的地位にあったCへの敵対的な認識があり、故をもって行われた本件配転は労組を弱体化させ、労使間の合意に反して、事前協議なく行われたもの労働協約の実効性を低下させる。労組法7条3号に当たる。
2020. 05. 09
就業規則上月給の割増賃金記載の会社における歩合給の割増賃金の計算方法
考察)どれだけ歩合給合意の元で働いていたとしても、就業規則において割増賃金の算出基礎がなく、月給によるものであれば、歩合給の割増賃金は認められにくいと思われる。概要)歩合制合意の元で就労していたトラック運転手割増賃金につき、就業規則は月給制歩合制合意は実質的に就業規則に定められた労働条件の変更に当たる自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在しない。民法92条の法的効力が認められる労使慣行は、長期にわたる反復継続労使双方が明示的に排除・排斥していないこと労使の規範意識に支えられていることを要する。民法(任意規定と異なる慣習)第92条法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。
2020. 05. 09
不正受給を理由とする懲戒解雇の有効性
考察)不正受給については、これまでの慣習的なところも考えられるが、役職・回数・金額などにより、処分内容が異なっても問題はない。概要)1年半の期間、100回にわたっての出張旅費の不正請求・受給を理由とする懲戒解雇が有効長期間にわたって多数回行われた。多額にわたる旅費の不正請求・受給という非違行為は、悪質性が高く、常習性があり、不正受給の額は50万円を超え看過できない規模に及ぶ詐取額を返納したとしても、高い悪質性に照らすと、処分を軽減すべきとは直ちにいえない。懲戒処分歴がなく、営業成績が優秀広域インストラクターは他の職員やインストラクターを指導する立場で、範を示すべきである。上記の事情を重くみて、処分を軽減することは相当でない。同時期に、旅費の不正請求・受給を行ったインストラクター9名に減給処分、1名に停職3ヶ月の処分を行った。その回数、不正受給額に相違があり、これらのものと異なる懲戒処分をしたことが、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上の相当性を欠いているとはいえない。
2020. 05. 09
職務手当は固定残業か?具体的な疾患のない長時間労働に対する不法行為の相当性
考察)長時間労働に対する不法行為について、具体的な疾患を発症しなくても慰謝料請求が発生するということについて、今後の参考になる。固定残業については、しっかりと分けている方が無難であると思われる。概要)法定休日の事前の特定は労基法上要求されていない暦週における唯一の所定休日である場合、日曜日は法定休日に該当する職務手当の中に固定残業代の他に、能力に対する対価も混在している。固定残業代部分と能力に対する対価部分とが明確に区分されていない。割増賃金の算定基礎から除外することはできない。法内残業に対する賃金の未払は、付加金の支払いにかかる労基法114条の要件に該当しない。月90時間から160時間以上の時間外労働に従事タイムカードの打刻時刻から窺われる労働状況について注意を払い、作業を確認し、改善指導を行うなどの措置を講じることもしないという事実安全配慮義務違反を構成し、損害賠償する義務が発生する。結果的に具体的な疾患を発症するに至らなかったと認められるとしても、安全配慮義務を怠り、2年余りにわたり、長時間労働に従事させたことは、人格的利益を侵害したものといえ、精神的苦痛に対する慰謝料などを支払う義務がある。精神的苦痛に対する慰謝料は、30万円をもって相当と認める。
2020. 05. 09
定年再雇用における途中雇止めの期待権の有効性
考察)基本的に定年再雇用については、継続されることが期待されているため、再雇用を退けることは難しい。京王電鉄ほか1社事件における選択制度をしっかりと設けることにより、従業員の賃金を減額する制度を設ける方が規定としては使用しやすいように思われる。概要)再雇用規程は高年法9条1項に則り規定本件規定の適用基準がいずれも勤務内容を問題とするものとはいえない本件規定によると、被雇用者の希望や健康上の問題などの適用基準を満たし、更新を妨げる特段の事情がない限り、65歳まで更新することができる。かかる基準を満たす者については、65歳まで継続して雇用されると期待することについて、合理的な期待があると認めるのが相当期待は保護される。新人に対する指導や周囲との協調性を踏まえて本件雇い止めをするに至ったという経緯雇止め後の賃金請求権を失わない。雇い止めを理由とする慰謝料請求については棄却
2020. 05. 09
既往症の告知違反に対する内定取り消しの有効性
考察)今回のコロナの影響についても、今後同様の話が出てくる可能性がある。基本的に告知義務については、仕事上で重要であることが前提になる。概要)①HIVに関する医学的知見が進展し、治療方法が確立されている②HIVが感染する危険性は無視できるほど小さいものであった③社会的偏見や差別が根強く残っている総合考慮すると、事実を告げる義務があったということはできない。応募者に対しHIV感染の有無を確認することですら、HIV抗体検査陰性証明が必要な外国での勤務が予定されているなど特段の事情のない限り、許されない面接において持病の有無を問われた際に事実を告げなかったとしても、これを理由とする内定取り消しについて、客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当として是認することができる場合にあたるということはできない。内定取り消しは違法であり、不法行為を構成する。
2020. 05. 09
身嗜み基準に関する従業員への強要に対する有効性
考察)身嗜み基準については、従業員の自由度があるため、服務規律を構成する際には、かなりの事業遂行上の必要性が認められる。概要)身嗜み基準は、一定の必要性及び合理性がある身嗜み基準の制定それ自体が違法であるとまではいえない。面談の際の発言は国賠法上違法であるものの、任意にヒゲを剃ることを求めるその他の上司らの発言には国賠法上の違法性があるとは認められない。髭を生やす自由が個人的自由に属する事柄であることを前提労働者の髭に関する服務規律は、①事業遂行上の必要性が認められ、②具体的な制限の内容が、労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的な内容の限度で拘束力を認めるべきものである考課は、髭をはやしていることを主たる減点評価の事情として考慮したものである使用者としての裁量権を逸脱・濫用したものであって国賠法上違法である。
2020. 05. 09
配転命令の有効性
考察)就業規則に記載をしている限り、配転命令は使用者の権限のもとで使用できるが、毎回のことながら、必要性の存否は確認する必要があり、存する場合には権利の濫用にはならない。概要)憲法22条1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。同条は民法90条を介して労使関係にも一定の拘束力がある。民法90条(公序良俗)公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。就業規則10条 その判断で社員の配置転換または転勤を命じることができ13条 業務上の必要もしくは業務上の都合により、社員に対し就業場所もしくは従事する職務の変更を命じることがあり15条 人事異動により居住地の変更を要する場合の取り扱いは別に定める。個別の合意なくして勤務場所を決定し、勤務先の変更に伴って居住地の変更を命じて労務の提供を求める権限を有する使用者の転勤命令権(転居命令権)は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することが許されないことはいうまでもない業務上の必要性が存しない場合、業務上の必要性が存する場合であっても、当該命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものである時労働者に対し通常感受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである時など特段の事情の存する場合でない限り、当該命令は権利の濫用になるものではない。業務上の必要性を欠き権利濫用であって無効転居命令に従わなかったことを理由とする解雇は、客観的合理的理由を欠いており、社会通念条も相当であるとは認めがたい。労働契約法16条により無効
2020. 05. 09
労使協定を定めていない計画年休(仕分けをしていない会社有給休暇を含む)の有効性
考察)法定年次有給休暇と会社有給休暇を仕分けが必ず必要であるという事を示す判例である。また、労使協定を結ぶ必要性が示された判例である。会社有給休暇までも使用者の好きにできないのは辛い。概要)有給休暇と主張した複数回の無許可欠勤勤務態度に問題があったとして、雇い止めは適法であると主張計画年休の労使協定が締結されていない。講師の中から選出された3名との間で、計画年休とする合意就業規則は、法定年次有給休暇と会社有給休暇を区別することなく20日のうち15日分を時季指定するそのうちのどの日が会社有給休暇に関する指定であるかを特定することはできない。全体として無効という他ない。年間20日の有給休暇の全てについて、その時季を自由に指定することができる。仮に全ての従業員講師から同意を得ていたとしても左右されるものではない。
2020. 05. 08
法定を超える定年再雇用について再雇用拒否の有効
考察)定年再雇用について、65歳を超えるものであったとしても、期待権が明確な場合には再雇用の必要性がある。その場合の給与面についても同様である。キッチリと仕分けをしている必要性がある。概要)使用者が再雇用基準を満たしていないものとして定年により労働者の雇用が終了したものとすることは、特段の事情がない限り、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められず、定年後再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているものとみるのが相当これについては、65歳を超える再雇用であっても、本人の希望により1年間の再雇用であった1名を除く29名全員が満68歳の属する年度末まで再雇用が継続されている。期待することに合理的な理由があると認められる。再雇用後の給与面での待遇については、定年年齢時の俸給は少なくとも支給定年年齢児の俸給は少なくとも支給され、雇用期間については、満68歳に達する年の年度末までになるものと解される。再雇用拒否は、全体として利益や名誉を侵害するものとして不法行為を構成する。慰謝料請求が一部認容大学院教授以外の教育職員の定年退職者を再雇用できる。任期は満68歳に達する年の学年度末まで就業規則に基づく懲戒処分を受けたものについては、再任用しない旨などが定められていた。地位確認及び本件再雇用拒否後の賃金請求には理由がある
2020. 05. 08