定年再雇用における65歳までの雇止めの適法性
考察)定年再雇用において、65歳までに更新満了による退職を求めるのは容易ではないことが分かる判例であると思われる。また、賃金の減額については就業規則などで記載をしている方が良いかと思われる。概要)労働契約法19条が適用対象とする有期雇用契約について、類型や条件などを限定する法令は特段存在していない。定年後の継続雇用であるからといって法の適用自体を否定すべき理由はない。(有期労働契約の更新等)第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。人員整理を含む人経費削減の抽象的な必要性があったことは理解できる。Xに対して提示した賃金額は、当時の具体的状況においてやむを得ないものであるという根拠を具体的に検討したとは認められない。Xの勤務能力などを踏まえた相当な提示額である根拠もうかがわれない。Xは本件継続雇用制限上の上限である満65歳には達しておらず、本件雇用契約は、労働契約法19条2号により、再度更新されたとみなされた。本件雇用契約が本件継続雇用制度に基づく以上、合理的意思などを踏まえ、更新前と同一の労働条件の意味に本件継続雇用制度において定められた条件などに従うという趣旨を包含する例えば、継続雇用後の賃金の減額割合やいわゆる役職定年などの労働条件に従った更新という理解をすることもあり得る。本件継続雇用制度にそのような定めはなく、労働契約法19条2号を適用した効果として生ずる同一の労働条件での更新について、従前の雇用契約で定めるのと同一の労働条件によるほかない。
2021. 01. 29
着替え中の労働時間性の有無
考察)着替えにおける労働時間の有無については、よく話になるが、その内容についての一つの参考になるかと思われる。賠償については、基本的に規定を守って行われている場合については、認められるケースもありそうである。概要)制服を着用することが義務付けられ、朝礼の前に着替えを済ませることになっている。その時間及び朝礼の時間以降は、指揮命令下に置かれたものと評価することができる。これに要する時間は、それが社会通念上相当と認められる限り、労働基準法上の労働時間に該当するというべきXらが引越し事故責任賠償金名目で支払った金員について、賠償規定が定める手続きを全く履践していない。金額についても、同規定が予定しているものとは全く別である。同規定に基づく引っ越し事故責任賠償金であるとは到底認められない。賃金からの控除または現金交付の方法により賠償金名目で支払ったことには法律上の原因がない。通勤手当は、労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に要する費用が異なるものではない。職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることは、通勤に要する費用の多寡とは直接関係するものではない。労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当
2021. 01. 20
整理解雇における解雇対象者の優先順位について
考察)基本的な整理解雇の4要件を話されている判例であると思われる。職種限定合意の従業員においても、配転の必要性がなくなる訳ではなく、定年再雇用者は優先して整理解雇の対象とできる可能性はありそう。概要)職種限定合意があっても、直ちに整理解雇法理の適用が排除されるわけではない学部廃止に伴う教員の過員状態の改称という人員削減の必要性自体は認められる。Xらを解雇しなければY法人が経営破綻するなどの逼迫した財政状態ではなかったXらを解雇する必要性が高かったとはいえない。異動させることを検討しておらず、総人件費削減に向けて努力をした形跡もない。解雇回避努力が尽くされたとはいえない。人選の合理性を肯定することは困難である。Yは多数回の団交に応じるものの、希望退職の募集と解雇対象者の事務職などへの配転を検討するのみ協議が十分に尽くされたと言い得るかは疑問が残る。整理解雇法理の4要素を総合考慮しても、労働契約法16条所定の客観的合理的理由と社会通念状の相当性は肯定されない。人員削減の必要性が認められる場面において、定年後に再雇用されて有期労働契約を締結している労働者を雇止め退職金を受けた後、1年の有期労働契約を締結したものであり、無期契約者と比べ、経済的打撃や雇用継続への期待は大きいとは言い難いXら2名の雇い止めについて、人員削減の際に有期契約労働者を優先して雇い止めとすることには客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当
2021. 01. 20
有給休暇の取得方法の有効性
考察)有給休暇の取得について、今回の判例のようなケースであっても良いと考えれるのは、これからの有給休暇の取得義務を考える上で、選択の範囲が広がる有意義なものであると考えられる。概要)B賃従業員とY社との間では、それが合法か否かは別として、ここの欠勤ごとに有給休暇取得の有無を判断するのではなく、結果的に、所定労働日数8乗務16日を下回らない限り、有給休暇を取得しないものとして扱われていたものと推認仮に、有給休暇がないといった趣旨の発言があったとしても、それは、現実にはB賃従業員の中で月の乗務数が8乗務を下回るものがいなかったことを踏まえて、当事者間の認識を確認ないし説明する趣旨のものであったと理解することができる。
2020. 10. 02
新しい職場で働いている元従業員の地位確認の有効性
考察)新しい職場で働いていたとしても、いつでも復帰のできる契約形態の場合、地位確認が認められる可能性があるという判例であると思われる。地位確認が認められる場合に、中間利益が全ての賃金の控除にかかる訳ではなく、6割の休業手当は必ず支払う必要があることは参考になる。概要)Xらの賃金請求について、解雇された後、それぞれ新たに就労などすることで収入を得ている。しかし、Y社における賃金額に及ばず、新たな就労などの形態も、Yとの労働契約上の地位が確認された場合には復帰することが可能なものと認められる。Xらは、解雇の意思表示があった後の期間中の賃金請求権を失うことはない。しかし、将来の給付請求をするまでの必要性は肯定できず、却下を免れない。解雇期間中にXらが得た収入は、中間利益としてXらの平均賃金の6割を超える部分から控除される。(会社都合のため、6割は支給義務がある。)将来の給付請求:まだ到来していない債権や条件が成就していない将来の権利を主張する場合は、あらかじめ勝訴判決を得ておく特別の必要性が認められれば許されるが、そうでない限り利益のない訴えとみなされる。(あらかじめその請求をする必要がある場合として認められるか否かは、被告の態度や給付義務の目的、性質などを考慮して判断される。)
2020. 10. 02
裁量性のある業務の長時間労働における安全配慮義務違反の有無
考察)安全配慮義務についての判例である。長時間残業だけをもって安全配慮義務違反を否定したことについては、参考になるが、今回のような裁量性のある業務についてのみの限定的な判例であると思われる。概要)使用者は、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことが内容注意する労働契約上の付随義務(安全配慮義務)Xの業務がうつ病の発症をもたらしうる危険性を有する特に過重なものと認識することは困難長時間労働のみをもって、うつ病の発症を予見できたとは言えない。Xの業務をさらに削減することが困難であった上、Xから業務の遂行が困難であることの申告もなかった。回避するための具体的な対応をすることも困難であった。①調査研究部における業務は、個別性が強く、研究員には自らの担当業務について、裁量性がある。②自らの業務の進め方について上司や同僚に相談しなかった③Xの業務の内容は、他の主任研究員と比較して、その質又は量が特に過大であるということもなかった
2020. 09. 29
労働契約法20条におけるその他の事情の有効性
考察)労働契約法20条における不合理性を争ったものであるが、その他の事情が大きく影響した判例であるといえる。概要)出産手当金として、無期契約社員は出産休暇を付与され、通常の給与を支給される一方、有期契約社員は健康保険上の出産手当金の支給しなされない。労働条件の相違は、労働契約法20条にいう期間の定めがあることによる労働条件の相違に当たる。しかし、Y法人の女性職員の比率に照らすと、当該制度の目的にはY法人の組織運営の担い手となる職員の離職を防止して人材を確保するとの趣旨が含まれており、その趣旨が合理性を欠くとは認められない。労働条件の実質的な相違が基本的には通常の給与額と健康保険法上の出産手当金との差額部分に留まる事も考慮すると、無期契約職員及び有期契約職員の処遇として均衡を欠くものとはいえないとして均衡を書くものとはいえない、労働契約法20条にいう不合理性を否定全職員に対して付与・支給を行うことも合理的な一方策であるが、Y法人の相応の経済的負担を伴うものであって、これをいかなる範囲において行うかはY法人の経営判断にも関わる事項である。
2020. 08. 31
業務の異なる配転命令の有効性について
考察)配転命令における参考となる判例であると思われる。やはりネックとしては、不利益の大きさと、これまでに同じような配転命令が行われていたのか?というところでしょうか。概要)転勤命令について業務上の必要性が存しない場合または業務上の必要性が存する場合であっても、転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものである時、もしくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときなど、特段の事情が存する場合には、配転命令は権利の濫用として無効業務上の必要性:複数の業務を経験させることによって人材の育成を図るため。X以前にも、事務職員が営繕室において勤務をしていたこともある。不利益:学校の構内における勤務場所の変更に過ぎない。執務環境も、他の事務職員の勤務する場所に比して劣悪であるということはできない。業務の内容も、事案決定書の作成などの事務作業であり、精神的または肉体的な負担が大きいものではない。得意とする広報業務に携われてないとしても、担当する業務を限定する旨の合意が成立していたことを認められない。著しい不利益を負わせるものということはできない。
2020. 08. 31
長時間労働とうつ病発症との因果関係について
考察)重要なところとして、業務内容が通常どの程度の労働時間を要するかという面に着目した。逆に、労働時間が長時間に渡ったとしても、その時間が通常どの程度かによって少しは判決の内容が変わるのか?概要)各種業務のために長時間労働を継続Xの業務は著しく過重なものであった。本件発症前6ヶ月におけるXの時間外労働時間は129から164時間であったと認定「厚生労働省が策定した労働災害の業務起因性に関する認定基準」において、心理的負荷の強度が「強」となる出来事として発症直前の連続した2ヶ月間に、1月あたり概ね120時間以上の時間外労働を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった。相当因果関係が認められる。Y社がこれを解消すべく、業務量の軽減するための措置を講じたものとは認められない。安全配慮義務違反があったものと認められる。
2020. 08. 31
長期間の契約を続けている臨時職員と正規職員の労働契約法20条違反の有無
考察)長期間の契約を続けている臨時職員において、労働契約法20条違反を認められるケースが大きくなると考えられる。概要)正規職員と臨時職員の間では、業務の内容および当該業務に伴う責任の程度に違いがあるということさらに、可能性だけでなく、実際上も職員の内容および配置の各変更の範囲において相違があるということができる。1ヶ月ないし1年の短期という条件で、人員不足を補う目的のために4年間に限り臨時職員として採用30年以上もの長期にわたり雇い止めもなく雇用させる業務に対する習熟度を上げたXに対し、臨時職員であるとして賃金の引き上げのみが行われた。同じ頃採用された正規職員との基本給の額に約2倍の格差が生じている。同学歴の正規職員の主任昇格前の賃金水準を下回る3万円の限度において不合理である。労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。労働契約法20条違反の取り扱いをしたことには過失があったというべきである。
2020. 08. 15
正社員と契約社員の賃金項目ごとの不法行為の有無
考察)正社員と契約社員との相違について、賃金項目の趣旨を個別に考慮した上で、それぞれの説明がなされていることが分かりやすくて良い。休暇についても反映されており、参考になる。概要)労働契約法20条には、補充的効力はなく、「不合理なものと認められる」として無効とされた場合、労働条件に基づく取り扱いには不法行為は成立し得る。しかし、就業規則および給与規定などの合理的解釈として、正社員の労働条件が有期契約労働者に適用されるということはできない。不合理性の判断は、賃金総額を比較することのみによるのではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきである正社員と契約社員両者の間には、職務の内容ならびに職務の内容および配置の変更の範囲に大きな、または一定の相違がある上、正社員には長期雇用を前提とした賃金制度契約社員にはこれと異なる賃金体系を設けることは一定の合理性が認められる。外務業務手当職種統合による賃金額の激変を緩和するため基本給の一部を手当化したもの契約社員については、賃金体系において、外務加算額という形で別途反映されている。不合理なものとはいえない。年末年始勤務手当契約社員が年末年始の期間に必要な労働力を補充・確保するための臨時的な労働力であるとは認められない。支払わないことは不合理であると評価することができる。住居手当正社員は転居を伴う配置転換などは予定されていない。労働契約法20条にいう不合理なものと認められる。差額全額につき不法行為に基づく損害賠償が認められる。夏期冬期休暇および病気休暇につき、正社員と契約社員らとの労働条件の相違は労働契約法20条にいう不合理なものと認められる。ただし、夏期冬期休暇が付与されなかったことにより賃金相当額の損害を被った事実の主張立証がないことから、損害が発生したとは認められない。正社員に対し私傷病の場合は有給とし、契約社員に対し私傷病の場合も無給としている相違は不合理であると評価することができる。病気による無給の承認欠勤および年次有給休暇取得日について、病気休暇を取得した場合に支給される額の不法行為に基づく損害賠償請求が認容される。慰謝料請求については棄却
2020. 08. 14
契約社員と正社員との間における皆勤手当支給の有無
考察)皆勤手当について、契約社員であることを理由として支給をしないことは、どのような形であっても難しいように思われる。概要)契約社員と正社員との間で、能力の開発と人材の育成、活用に市することを目的とする等級・役職制度の有無配転および出向の可能性などの点で相違があるこれらの相違は、皆勤手当の趣旨とは合理的な関連性がない時給の増減について、契約社員である乗務員について、皆勤を奨励する趣旨で翌年の時給の増額がなされ得る部分があることを持って、皆勤手当を不支給とする合理的な代償措置と位置付けることはできない。皆勤手当の不支給について、労働契約法20条のいう不合理と認められるものに当たり、均衡待遇を要するXの法的な利益を侵害するものとして不法行為になり得る労働契約法20条 有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件に相違があり得ることを前提に、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり、職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であると解される。皆勤手当を支給しないという違法な取り扱いをしたことについて過失があったというべきである。
2020. 08. 14
分限免職処分における回避努力の有効性
考察)基本的には国家公務員法においても解雇についての考え方は一緒であると考えられます。概要)国家公務員法78条4号に基づく分限免職処分は、被処分者になんらの責められるべき 事由がないにもかかわらず、その意に反して免職という重大な不利益を課す処分(本人の意に反する降任及び免職の場合)第七十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合三 その他その官職に必要な適格性を欠く場合四 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合機構への採用他省庁への転任または他の組織への就職の機会の提供などの措置をとるなど分限免職処分回避に向けた努力をすべき義務を負う。本件においては、社保庁をその外局に持ち社保庁長官の任命権を有していた厚労大臣も、分限免職処分回避努力義務を負う。その上で、社保庁長官などおよび厚労大臣共に分限免職処分を回避するために様々な措置を講じていた。懲戒処分歴のある両名に対して分限免職処分回避努力義務違反はなかった。
2020. 08. 14
実績のある企業における定年再雇用拒否と反対給付を受ける権利の有効性
考察)定年再雇用については、今後もトラブルが絶えない気がしますが、再雇用の実績が大きく、例え再雇用拒否後に他の企業で勤務していたとしても、支払いを無効とすることはできないことが大きい。概要)労働組合との労働者供給契約会社が供給も申し込みをした供給労働者と会社との間で雇用契約が締結されていることを当然の前提としている。労働者と会社との契約関係に労働契約法及び、労基法の適用を否定すべき理由はない。無期雇用契約が定年により終了した場合であっても、労働者から申し込みがあれば、再雇用契約を締結することが就業規則などで明定され、確立した慣行となっていて、契約内容が特定されている場合、再雇用契約を締結せず、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合、権利濫用に該当する。現に75歳まで再雇用された実績の存在を照らすと、倦怠、健康状態などに問題がない限り75歳まで契約更新が可能という限度で、有期雇用契約が更新されることについての合理的な理由があると認めるのが相当75歳まで有期雇用契約が更新されると期待することについての合理的な理由が認められる以上、一度再雇用としての有期雇用契約を締結した以上、契約更新への期待はすでに現実化している。乗務中の交通事故および交通違反について行政処分を受けていないこと態様が悪質とはいえないことその後に契約を更新された事実があることこれらを考慮すると、雇止めの客観的合理的理由は認められない。雇止め後に他社で得た収入については、民法536条2項「債権者の責めに帰すべき事 由によって債務を履行することができなくなったとき は、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。」に基づき使用者に償還(債務を返済する)すべき控除額の上限については、労基法26条『使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない』の趣旨に鑑み、平均賃金の4割を限度とすべき
2020. 08. 14
契約社員と正社員の各手当の支給の有無と相違の有効性
考察)契約社員と正社員との差異については、基本的な解釈の形はあるが、内容によって異なること、主張立証責任は主張するものが負うことを認識しておいた方が良いと思われる。概要)労働契約法20条労働条件の相違が①労働者の業務の内容②当該業務に伴う責任の程度③当該職務の内容④配置の変更の範囲⑤その他の事情不合理と認めら得ると主張する無期契約労働者において特定して主張すべきもの規範的要件:具体的に特定されていない概念が法律の要件とされている場合に、これを規範的要件といいます。明確にできないこと労働条件の相違が不合理であるか否かの判断は規範的評価を伴うものであるから、当該相違が労働契約法20条に違反すると主張するものが主張立証責任を負う。正社員と契約社員との労働条件の相違のうち、住宅手当住宅手当は、従業員が実際に住宅費を負担しているか否かを問わずに支給される。職務内容などを離れて福利厚生及び生活保障の趣旨でされるされるもの生活費補助の必要性は職務の内容などによって差異が生ずるものではない正社員であっても転居を必然的に伴う配置転換は想定されていない。褒賞及び早出残業手当に関する相違褒賞は一定期間勤続した従業員に対して支給している。褒賞にかかる労働条件の相違は、不合理であると評価することができる。早出残業手当の割増率についても、割増率に相違を設けるべき理由はなく、割増賃金を支払う場合にも同様というべき労働契約法20条に違反するもの違法な取り扱いをしたことについては過失があったというべきこれらについては、不法行為に基づき損害賠償が命じられた。賠償義務が履行されることにより経済的損失は慰謝されるため、慰謝料請求は棄却。本給正社員と比べて職務内容及び変更範囲に関しては売店業務以外の業務への配置転換の可能性はない。72.6%から74.7%と一概に低いとはいえない。契約社員には、正社員と異なり皆勤手当及び早番手当が支給され、賃金お相違を解消する機会がある。その他の事情として、関連会社再編によって転籍してきたものが一定程度占めており、一方的に切り下げたりすることができない。資格手当各資格に応じて支給されるものであり、同様の資格を設けることは困難であると認められる。賞与にかかる相違違反しない従業員の年間賃金のうち賞与として支払う部分を設けるか、いかなる割合を賞与とするかは使用者にその経営判断に基づく一定の裁量が認められるものというべき本給に述べた経緯から、他の正社員と同一に遇されていることにも理由があることを考慮すれば、直ちに不合理であると評価することはできない。
2020. 08. 11