懲戒処分に対する業務改善が見られない社員の解雇の有効性
考察)問題は即座に解雇ではなく、順を追って対応することが重要である。反省文は有効な手段として用いることが出来そうです。概要)会社内部における企画・運営についての自己の意見・不満を外部にぶちまけるかの内容のメールを送付したX直ちに従前の担当を停止し、難易度が著しく低い単純作業を担当させる業務指示問題行為の性質上、従前の担当業務を担当させない場合業務軽減の必要性のない他の従業員の担当業務の一部を担当させたとしても、その一事をもって懲罰目的であるとか、パワハラに該当するとかいうには無理がある。Xに組織の基本を体得させるという業務上の必要性十分な反省と改善が見られるまで外部との接触のない業務を行わせる。やむを得ない措置である。問題行為を起こしたXが提出した反省文に、意見・不満をにじませた記載Yが今後も職場規律を乱す言動を行いかねないという大きなリスクを抱えた人材であると評価従前業務に復帰させなかったことは、誠にやむを得ない。退職に追い込む目的で発せられたことを認めるに足りる証拠はない。メール行為にたいし、直ちに性急に解雇に踏み切ったものではない。反省と改善の機会を十分に与えられていたにもかかわらず、2度の懲戒処分後も反省と改善が見られない。他罰的言動を繰り返した。解雇は有効
2020. 05. 29
正社員とアルバイトの労働条件の相違に対する有効性
考察)労契法20条において、労働条件相違に対する条文がある中、同一労働同一賃金の対策にも重要になる賞与や休暇についても在籍期間だけでなく、他に支給の対価を作成しないと、額の多寡はあるにせよ、全く支払わないという判断はできないことが分かる。概要)労働契約法20条①職務の内容②当該職務の内容及び配置の変更の範囲③その他の事情(職務の内容など)その相違が不合理と認められるものであってはならない。認められるものであるか否かを判断する際には、これらの関連する事情に限定されるものではない。当該相違が不合理であるとの評価を基礎付ける事実については、当該相違が同条に違反することを主張するものが、当該相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については、当該相違が同条に違反することを争うものが、それぞれ主張立証責任を負うものと解される。賞与正社員として賞与算定期間に在籍し就労していたことそれ自体に対する対価としての性質を有する。アルバイトに対し、額の多寡はあるにせよ、全く支給しないとすることには不合理というしかない。正社員と比較し、賞与の支給基準の60%を下回る支給しかしない場合は不合理な相違に至るものというべき年間と通して、フルタイムで勤務しているアルバイト職員に対し、夏期特別有給休暇を付与しないことは不合理である。私傷病による欠勤中の賃金支給を一切行わないこと、休職給の支給を一切行わないことは不合理
2020. 05. 17
新聞記者への情報提供による懲戒処分の有効性
考察)情報提供について、懲戒処分とする場合に、不法行為が成立しない内容が含まれているが、この場合、懲戒処分を規則に則り対応し、訴えにより覆される場合には、その指示に基づいて取り消すくらいに考えないと、事業活動的には懲戒処分の対応が難しいように思われる。概要)新聞記者に対し誤った情報を提供して報道Y社の信用を著しく毀損したとしてXに対する懲戒処分を有効とした判決を取り消された。民事上の不法行為である名誉毀損については、①その行為が今日今日の利害に関する事実にかかり②公益を図る目的である場合③摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は違法性がなく、不法行為は成立しない。
2020. 05. 17
支給額増加の不利益変更の有効性
考察)不利益変更に関して従前と支給額がどのように変わるのか?今回であれば、残業見合いが含まれていても、その分賃金が増している。日給が時給に変更されているが、もともと短時間の従業員であれば、減額が見られるが、通常勤務の従業員であれば、問題がないなど概要)Y社によって作成または変更された就業規則はXらを拘束しないと主張平成25年10月分から27年9月分までの時間外、休日、深夜労働の割増賃金26年10月分から27年9月分までの未払い賃金などの支払い25年10月分から27年4月分までの時間外労働などの割増賃金26年10月分から27年4月分までの未払い賃金などの支払いを求めた。平成20年1月に添乗員就業規則を制定4時間分の時間外勤務手当見合い分を含む平成26年就業規則日当制から時給制にする形で変更平成26年9月中旬以降、方面ごとの1時間の時給額を記載平成20年就業規則の不利益変更該当制及び、不利益の程度について8時間の所定労働時間に対する対価であった日当につき、4時間の時間外労働時間分が含まれることとなったものであって形式的には不利益変更といえるものしかし、従前の日当を11で除して12を乗じたものとしていることから、結果的に10.6%の賃金増額となっている。実質的な不利益性としては大きくない実態に沿う形で規定が整備されたと見ることができる
2020. 05. 16
有期雇用契約の上限規制の有効性
考察)有期雇用契約の上限を設けることの適法性を考える上で参考になる。しかし、今回65歳であり、もう少し若い状態で上限を定めることが有効であるかどうかは今後の判例を参考にしたい。多分、回数制限による無期転換が影響して、無期雇用者の就業規則に準ずると思われるが。概要)満65歳を更新上限とする旨定める上限条項は、一定の年齢に達した場合に契約を更新しない旨をあらかじめ就業規則に定めておくことは相応の合理性がある。その内容は高齢法に抵触するものではない。各有期労働契約は6回から9回更新されている。雇止めの時点において、いずれも満65歳に達していたのであり、更新されることなく期間満了によって終了することが予定された本件各雇止めの時点において、無期労働契約と同視し得る状態にあったということは出来はできない。雇用関係が継続されるものと期待することに合理的な理由があったということはできない。
2020. 05. 13
復職時の労働条件の不利益変更に伴う不就労時の賃金請求の有効性
考察)復職時の労働条件の不利益変更について、同意を得ない状況での不就労は賃金請求されるリスクが伴う。これは通常の不利益変更においても考えられると思います。概要)妻の手帳における退勤時刻の記載をそのまま退勤時刻と設定することはできない。平成28年10月3日、復職の申し入れ平成28年10月11日時点、労働条件の不利益変更に関する同意書に署名しない限り就労を受け入れないとの態度不就労について、Y社には責めに帰すべき事由がある休職前の賃金である月額35万の割合による賃金の支払いを請求することができる平成29年1月24日、休職前と同額の賃金で調理部にて勤務するとの労働条件の提案不利益変更に対する同意を求める状況は解消されたと評価できる同月25日以降、不就労についてYの責めに帰すべき事由はない民法536条2項に基づく請求も、不法行為に基づく請求も認められない。平成29年2月21日、復職を命じる旨の復職命令を出した。
2020. 05. 12
従業員の定年再雇用拒否と雇止めの有効性
労働契約法(有期労働契約の更新等)第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。職業安定法(労働者供給事業の禁止)第44条何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。民法(債務者の危険負担等)第536条前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。労働基準法(休業手当)第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。労働者を労働組合を通して労働者供給契約を行ったとしても、労契法19条を適用する。定年終了により再雇用を締結する際、就業規則により、再雇用後の業務内容、賃金、労働条件などについては、個別に契約する。旨が記載されている限り、新たな雇用契約を成立させることはできない。再雇用をした人間については、1年更新であるため、労契法19条が適用される。更新が期待される合理的な理由がある。
2020. 05. 09
即戦力を採用した際の試用期間中の本採用拒否の有効性
即戦力の管理職を採用するにあたり、試用期間中に留保していた解雇権を行使趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当と是認されえる場合にのみ許される法人においては高額な賃金待遇の下、即戦力の管理職として中途採用されたものである。職員管理を含め、高いマネージメント能力を発揮する事を期待にもかかわらず、高圧的、威圧的で協調性を欠き、適合的でなかったと評価せざるを得ない。履歴書へも事実に著しく反する不適切な記載客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当懲戒手続きにより解消に至ったわけではなく、あらかじめ内容を告知し、弁解と防御を与える必要はない。これにより、契約解消の有効性が左右されるものではない。
2020. 05. 09
非常勤講師と専任教員との待遇の格差の相当
非常勤講師である原告Xと専任教員の労働条件は労働契約法20条に規定する規定の定めがあることにより相違する。理由としては、①職務の内容並びに、配置の変更Xの職務は定められた契約期間内に定められた授業を行うものに限られる。専任教員はそれ以外でも教育活動、教授会で審議、大学組織上の役職に及び、大学運営に関する幅広い業務を行なっている。②その他の事情非常勤講師の待遇に関する労使交渉の経緯、経常的経費についての国庫補助金にに関する定め、非常勤講師の賃金水準との比較家族手当、住宅手当について、専任教員のみ支給することは不合理ではない。理由として、福利厚生及び、生活保障の趣旨で支給されるものであり、大学運営に関する幅広い業務を行い、責任を負う立場安定的に確保するために、手厚い処遇をすることに合理性がない。兼業が禁止され、法人から受ける賃金に依存せざるを得ない。
2020. 05. 09
基礎疾患を有する従業員の心疾患の業務起因性
基礎疾患を有している従業員の疾患が急性大動脈解離を含む心臓疾患を発症する場合、業務と因果関係があると認められるには、自然経過を超えて著しく増悪する程度に仕事によって過重な負荷が認められる必要がある。業務と心臓疾患との間の因果関係の検討(業務起因制の判断基準)にあたっては、脳血管疾患及び虚血性心疾患などの認定基準について(平成13年12月12日基発第1063号)を参考にするのが相当使用者は長時間にわたる業務により疲労や心理的負荷などが過度に蓄積しないように注意する義務を負う。管理監督者は相応の賃金を受け取り、厳格な労働時間の規制を受けず、比較的自由な裁量が認められている場合に限り、例外的に、労働時間などに関する規定を適用しなくても、長時間労働を防止されると解される。
2020. 05. 09
長時間労働によるくも膜下出血発症・死亡の業務起因性
労災保険制度は使用者の災害補償責任を担保する制度業務と疾病との間に法的にみて労災保証を認めるのを相当とする当該業務に内在する危険が現実化したものであると評価し得ることが必要特段の勤務軽減を要することなく通常業務を遂行することができる平均的労働者を基準とすべき残業時間は発症前1ヶ月(平成26年11月15日から同年12月14日)で100時間を超える26年12月5日から同月得喪10日までは6日連続の勤務発症1週間前の時間外労働は41時間34分労働時間による負荷と上記発祥の関連性は強いと評価発症前1ヶ月間の拘束時間は280時間54分発症及び死亡に業務起因性があると認めるのが相当遺族補償給付等を不支給とする労基署の決定が取り消された
2020. 05. 09
パワハラの業務起因性
パワハラの相当性労働者の人格否定については重要業務指導の域を超えたいじめ・嫌がらせに該当例として、カウンター横に勤務終了まで約1時間立つように命じ、他の従業員に晒し者にした。就労不能の状態が続いており、北大阪労基署長により休業補償給付の支給決定民放722条2項の過失相殺の規定性格などの心因的要因について、労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない場合、心因的要因として考慮することはできない。損害を減額することは相当ではない。
2020. 05. 09
定年再雇用に対する期待権と損害賠償
定年再雇用に対して、労働契約が締結されたと認定・評価するには、強行法規(お互いの合意がなくても決まるもの)が存在していれば別ですが、そうでない場合には、労働条件に関する合意が存在しない以上、契約上の地位確認は認められない。ただし、再雇用される期待が明らかである以上、雇用継続の期待権を侵害した不法行為責任を生じさせる。少なくとも地域別最低賃金相当額を下回らない。ただし、5年間維持できるとも断定できないので、損害賠償額は3年分相当額と認める。3年間については、ライプニッツ方式により控除するのが相当3年で2.7232となるので、月額最低賃金12万2,724円×12ヶ月×2.7232=401万423円
2020. 05. 09
うつ病罹患者に対する安全配慮義務と配置転換の有効性
使用者は身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべき(労契法5条)KがY社に雇用される前の時点において、うつ病に罹患していることを認識していた。安全配慮義務の一内容として、罹患している者であることを前提に、心理的負荷を与える言動をしないようにすべき注意義務を負う。使用者側は、労働者の配置及び業務の割り当てなどについて、業務上の合理性に基づく裁量権を有する。地位、能力及び経験に照らして、これらとかけ離れた程度の低い業務にしか従事させない状態を継続させることは業務上の合理性がなければ許されない。
2020. 05. 09
配転命令の有効性及び、不利益変更と過半数代表者の正当性
退職勧奨を拒否した原告Xに対する転居を伴う配転命令Xの知識と職務経験からみて、業務上の必要性が認めれる話し合いの席でXが家庭事情を説明していないことなどを勘案すると、不当な動機・目的でなされ、通常感受すべき程度を著しく超える不利益を与えるものとは認められないとして、有効人事考課により加減することを内容とする就業規則変更について、不利益変更を有効とした。調整給による不利益緩和もされており、著しく大きい不利益とまではいえない。必要性、内容の相当性、交渉の経緯から見て合理性があり、Xに適用される。統合に伴いアルバックとの処遇の均衡を図る必要があった。適切に選出された過半数代表者とは認められないものの、代表者と交渉する旨を従業員にメールで伝えたのに対して、異議が出なかった。個別の従業員に説明するなどの手順を踏んでいることを考えると、不十分であったとはいえない。変更後の給与体系表は就業規則となっていないまた、労働契約の内容になっていないからXに適用されない。従前の給与から下げる事は出来ないが、評価としては今後評価給制度は合理性があり、有効手当の概要として、自宅待機中の賃金の一部減額について管理職手当はその地位に応じて支払われる賃金であるから支給義務がある。通勤手当は交通費の実額補填であるから支給義務がない。
2020. 05. 09